【安全登山】「登りたい山」ではなく「登れる山」に登ろう!登山計画の立て方と注意〜山選びから天気予報まで〜【YAMAP】

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沖縄の亜熱帯雨林から初雪の八甲田まで、振り返れば割と全国あちこち登ったコニタンです。

そのうち、「登山をしたいけどどこに登ったらいいの」という質問を受けることがちらほらあったので、登山を始めてみたい方に向けて、山の選び方、そして登山計画の立て方をご紹介したいと思います。

持ち物リストや(ソロ)登山での注意などはコチラの記事を参考にどうぞ。

持ち物の中でも救急セットの中身についてはコチラをどうぞ。

山選び編

自分のコースタイム目安がまだわからない、登山を始めたばかりというビギナーさんは

  • 登山客が多い山
  • 累積標高差が800m前後の山
  • コースタイムが往復5時間前後の山

を目安に選ぶことをお勧めします。

登山客が多い山

登山客が多い山というのは「登山道が整備されている」「何かあった時に気づいてもらいやすい」「動物との遭遇リスクが減る」というメリットがあります。では、どうやって登山客が多い山を探すか。まずは登山アプリYAMAPを使った探し方をご紹介します。

YAMAPを使った探し方

圏外でもGPS地図を使って現在地を確認したりできる、便利なアプリです。まずはダウンロード!

①メニューの「探す」をクリックすると、地図が出てきますので、②行きたいエリアのピンをタップします。その中でも「活動日記」という登山レポートが多い山が、登山客の多い山です。興味がある山のピンの③「詳細」をクリックします。

すると、「モデルコース」が表示されるので、自分にあったレベルのコースを探しましょう。

「山のグレーディング」を参考にする

登山をするなら1度は憧れる「アルプス」「富士」など有名な山々が点在する都道府県では、人気の山を中心に、統一された基準で計算した「山のグレーディング」が公開されています。有名だからと「登りたい山」に行く前に、今一度「登れる山」か確認をしましょう。

有名な山はいつか登りたいけど、本当に大丈夫?

累積標高差が800m前後、往復5時間以内の山

登山の「キツさ」とは、標高とイコールではありません。ルートの険しさなどもありますが、ひとつの目安となるのは「累積標高差」です。

累積標高差とは
標高1500mの山でも、登山口がすでに標高1000mだったり、 アップダウンを経て登頂するので、「1500m登った」とはなりません。そこで目安となる「累積標高差」とは簡単にいえば「登った標高」を足した数値を指します。

この累積標高差が800m前後、往復5時間以内がビギナー向きと言えるでしょう一度軽い山で自分の体力や意欲を確かめて、次の山を選ぶ指針にしましょう!登山は重力に逆らうスポーツなので、平地での同距離とは負荷が違います。油断は禁物。

ルート選び編

行く山を決めたら、ルート選びです。1つの山頂を目指すにも、複数のアプローチがあります。先ほど、累積標高差が800m前後、往復5時間以内がビギナー向けと言いましたが、他にも着眼点はいくつかあります。これらに注意して、ルートを選びます。

ルート選びの着眼点

  • 登山口・下山口はどこにするか
  • 登山口駐車場の有無、登山口までの交通経路
  • 展望箇所はどこか
  • トイレはどこか

また、ルートの形は主に3種類あります。

  1. 同じ道を往復する「ピストン」ルート
    メリット:一度通った道を帰るので、安心。多少時間が押しても急ぎやすい。マイカーでの登山がしやすい。
    デメリット:同じ道を辿るので面白みに欠ける。
  2. 輪を描いて登山口から下山する「周回」ルート
    メリット:違う景色が見られるので面白い。マイカーでの登山がしやすい。
    デメリット:下山に思ったより時間がかかることも。
  3. 登山口も下山口も異なるところへ出るルート
    メリット:より遠くの景色を見られる。
    デメリット:帰宅方法や、登山口へのアクセスが難しくなる。

このように登山口まで公共交通機関を使うのか、マイカーで行くのかによっても、ルート選びに制限が発生します。

実際に行く山を決めたら、「◯◯山 登山道」などでどんなルートがあるか検索してみましょう。先ほどのYAMAPや、YAMAHACKでのルート検索がお勧めです。

YAMAHACKでは、網羅的にルートがまとめてあり、各コースタイムや累積標高などもまとまっています。先ほどの着眼点を参考に、自分にあったレベルのルートを選びましょう

登山計画書作成編

登る山、ルート、入山時間などをまとめた「登山計画」を作成して、事前に身内に共有しておきましょう登山計画は共有してこそ意味があります。何をかいたら良いか分からない人も、無料で登山計画を作成・共有できるサービスがあるので、利用することで簡単に作成できますよ!今回は、YAMAPでの登山計画作成方法を記載します。

作成時のポイントは以下。これらができるのであれば、別のツールやフォーマットを使っても構いません。

  • 登山口・下山口、経路を記入
  • 水場とトイレ場所の確認
  • 入山・下山時刻を記入
  • 休憩ポイントと休憩時間を記入
  • 持ち物や当日の服の色などを記入
  • 水量、行動食の有無、食料は何食分か記入

YAMAPを使った登山計画の作成・共有方法(2021年11月時点)

※無料ユーザーは月に2回まで地図をダウンロード可能

①アプリをダウンロードし、「さがす」から目的の山を検索。「地図」をクリック。プレビューが表示されるので、「ダウンロード」をクリック。

②「無料のベーシック地図」で十分なので、ダウンロードします。

③ダウンロードが完了したら、下部の設定(歯車マーク)をクリック。メニュー内から「登山計画を新規作成」をクリック。

事前の工程であらかじめ決めておいたルートを、地図上をタップすることで入力していきます。ざっと入力したら、休憩時間を入力します。

YAMAPの便利なところは、1箇所の時刻を変更すると、後工程の時間も全て自動でずれてくれるところです!さらに、宿泊する場合は、「ここを宿泊地にする」をタップするだけで二日目以降の工程入力に自動で遷移します。

人より足が遅い、早い、という人は、左下の「コースタイム倍率」を変更すると、全体のコースタイムが縮んだり、伸びたりします。

めっちゃ便利!!

あらかたルートを記入したら、「保存」をクリック。

⑤保存すると、他項目の記入ページが現れます。項目名に従って入力していきましょう。特筆すべきは以下。

  • メモ…当日の服装、色などを記入しておきましょう
  • 山岳保険・団体…1日単位で入れる保険があります。低山での遭難も多いのでぜひ入りましょう。だいたいメインはこの3つ。YAMAP / mont-bell / やまきふ共済会
  • 緊急連絡先…必ず設定しましょう。スクショで登山計画を身内にLINEする、でも良いので、とにかく誰かに共有しましょう。

全て入力したら、「YAMAPに登山計画を提出」をクリック。緊急連絡先を設定している場合は、その人に通知がいきます。

注意点

スマホの普及で便利になったGPSマップですが、登山口についてからでは圏外でダウンロードできない、ということが多いです。事前にダウンロードして準備しておきましょう

また、ついつい便利で頼りがちになりますが、スマホの地図は「いつ壊れるか分からない」「充電切れになるかもしれない」「紛失するかもしれない」ので、必ず紙地図も持つことを忘れずに
「山と高原地図」は防水性の高い紙、見やすさ、信頼性などからお勧めです。書き込みをする人はコピーを持っていきましょう。

天気確認編

さぁ、いよいよどこに行くかが決まってきました!わくわく準備を始める前に…大事な天気予報確認です!

ここでは、天気図を読めるようになろうとか、難しいことは一切言いません。ちょっとだけ、普段の平地での天気予報と違うところもチェックしましょう。また、予報は確認しますが基本的には「山の天気は読めない」と考えて、レインウェアは持っていくのが無難です。レインウェアは寒さ対策にも使えます。

天気予報の着眼点

  • 遠くの台風は大いに影響あり
  • 雨より風が怖い
  • 山頂の気温を想定せよ

遠くの台風は大いに影響あり

九州に上陸する台風でも、長野の山の稜線も風が強かったり、天気が荒れる可能性が多いにあります。遠くで起こっていること」と看過しないようにしましょう。空は繋がっています。

雨より風が怖い

先ほどの項目に通じますが、雨が降るかどうかだけを気にしていると、風で痛い目にあいます。平地だと、あまり「風速◯◯m/s」と聞いてもピンとこないのですが、山の上では平地では味わったことのない強風に出会うことがあります。なのでこの機会に、ざっとどのくらいの風速でやばい、くらいの感覚を身につけておきましょう。

九州電力サイトより引用

この表を見た後で、次の山の天気を見てみましょう。
※風だけの参考で引用したので、シーズン的にはビギナー向けではありませんが^^;

どうやら夜から晴れそうですが、風がだいぶ強そうです。テント泊などの場合はかなり風に注意して場所を選び、ガイロープ(張り綱)を張っておく必要があるだろうということがわかります。

樹林帯であればまだ問題ありませんが、稜線上での強風は、ザックが風を受けやすく、身体ごとブレるので危険です。

山頂の気温を想定せよ

標高100m上がるにつき、気温は0.6度下がると言われています。つまり、標高1000mの山に登れば、海抜0mの街より気温が6度下がります。これは単純計算なので、実際は汗をかいたり風が吹いたりして体感はもっと低いと思われます。

夏に大人気の北アルプス、燕岳では8月でも10度を下回ることもあります。「ほんとに?」なんて言われたりもしますが、これは防風性の高いレインウェアを羽織った下に、ユニクロのウルトラライトダウンが必要な寒さです。山頂でご飯を食べたり、じっとするのであれば、ちょっと暑いかな、くらいの上着を持っていても良いでしょう。

自分が登る山の標高を見て、山頂の気温を想定して準備しましょう。

これらのことを想定するには、平地の天気予報ではなく、「登山用の天気予報」が向いています。

登山用の天気予報サービス

実際に使ったことがある中で、ざっとおすすめするサービスを紹介します。

無料サービス

てんきとくらす

「◯○山 天気」で検索するとだいたいこれが出ます。標高ごと、3時間おきの天気と風速、登山指数を表示。簡潔でわかりやすい。

Mountain Weather Forecast

海外サイトなのですが、精度が良いと評判です。山の名称をローマ字で入力すると検索できます。

有料サービス

tenki.jp登山天気

登山口や標高ごとの天気、登山指数などが非常にわかりやすくまとまっています。有料アプリなので、高頻度で山を趣味にする人にはぜひおすすめ。

ヤマテン

自動計算された予報が多い中で、山岳気象に精通した気象予報士が山特有の気象条件や地形などを徹底的に検証して作った予報です。月額有料サービス。

荷物準備編

山を選び、ルートを選び、天気も確認したならば、荷物の準備です!忘れ物は命取り。しっかり「持ち物チェックリスト」を使って揃えましょう。

持ち物チェックリストはコチラの記事を参考にどうぞ。

救急セットの中身についてはコチラの記事を参考にどうぞ。

当日までの過ごし方

山の状況や気温を知ったり、ワクワク感を高めるにも、「人の活動記録を読む」ことがお勧めです!先ほどのYAMAPでは、「さがす」→該当の山をクリック→「詳細」→「この山の活動日記」から読むことが可能です。

また、TwitterなどSNSでも、該当の山の名称を検索し、最新の投稿から見れば登山道状況や、最近行った人の服装や装備を確認することができます

そこから「寒そうだな」「思ったより暖かそうだな」「花が見頃だ」など推測を立てることや、「ルートが通行止めになっている」などの最新情報を得ることができます。

また、当日はどんなに朝が早くとも、ご飯をしっかり食べて入山しましょう。登山では、平地の運動と比べ物にならないカロリーを消費し、低血糖からハンガーノックなど重篤な症状につながることがあります。

終わりに

あくまで1つのやり方なので、登山をする中で段々と自分にあったアプリや方法を見つけてゆきましょう。また山は美しく、危険で、人間はちっぽけです。備えられることは備えて、こころから存分に楽しみましょう!

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