こんにちは!登山は単独山行派、コニタン(@koni_tama)です。
以前、北アルプスに登った際、昼下がりの静かな山頂で、絵を描く人、昼寝する人、本を読む人(私)と、登山客が各々の時間を過ごしていたのが印象的でした。
そのように、登山において、「山頂で◯◯する」というルーティーンを持っている人がいるのではないでしょうか。
ちなみに私はというと、「本を読む」「双眼鏡で見える地形と地図を見比べる」がルーティーンです。
登山で双眼鏡を持っていくと、
- 近づけない野生動物・植物を遠くからでも観察できる
- 周囲の地形・山容を詳しく見ることができる
- 尾根から見えるルート・山小屋を探すことができる
など、便利でより一層楽しむことができます。
ですが、双眼鏡と一言で言っても価格は十数万〜数千円までピンキリ、機能も様々。だからこそ用途にあったものを選ぶことが必須です。
また、登山がメインの活動なので、プラスアルファで持っていく双眼鏡にはそこまでコストをかけられないのが心情。
そこで記事の最後では、コスパバランスの良い商品もいくつかご紹介!
今回は、そんな『楽しさをプラス』してくれる双眼鏡を、「登山の視点」からオススメしたいと思います。
購入にあたって“特に”見るべきポイント
双眼鏡の購入にあたって、見るべき項目はたくさんありますが、「登山用」として選ぶなら、特に下記に注目して選びましょう。
- 防水性
- 倍率と明るさ
- 軽さ
- ストラップ
それでは、一つずつ見ていきましょう♪
防水性
山は天候が変わりやすく、時には水場をわたるシーンや、気温差などでガラスが曇ることも。
すると、防水性は必須。防水機能のある物を選んでおけば雨や雪などで濡れても、内部に水が入りにくい構造となっています。また、屋外での使用に伴う埃の侵入もしにくくなります。ただし防水とはいえ、物によっては水中での使用は不可なのでご注意を。
仕様として、内部に窒素ガスを充填させた「防水+曇り止め」という完全防水機能を備えたものもありますよ。
倍率と明るさ
双眼鏡を選ぼうとした時、よく「10×21」などの表記を目にします。これは「倍率×対物レンズ有効径」を表しており、双眼鏡を覗いてものを見る時の「大きさ」と「明るさ」に関わってきます。
対物レンズ有効径が大きければ明るく、解像度高く見えますが、その分コンパクト性は失われます。
では、倍率とは…?
倍率は、双眼鏡で覗いた像がどれだけ大きく見えるかを表します。たとえば、10倍の双眼鏡ならば、100m離れたものが裸眼で10mの距離から見るのと同じ大きさで見えることになります(距離を10分の1まで縮めて見ることを意味します)。
https://cweb.canon.jp/binoculars/entry/beginner/#anc-%E5%80%8D%E7%8E%87
双眼鏡には、6〜30倍など、かなり幅広い倍率のラインナップがあります。
海辺など限りなく広い場所でバードウォッチングするのではなく、あくまで登山が活動のメインの場合に、樹林帯での動植物観察、ルートファインディングや地形を観察するなどのトレッキング用途なら「8〜10倍」で十分と言えるでしょう。
また、倍率が高いほど手ブレにより視界が定まりにくい特性があります。倍率が高い双眼鏡の場合は「IS = Image Stabilizer(手ブレ補正機能)」がついているものを選ぶと良いでしょう。
軽さ
ザックであれ、クッカーであれ、登山用品を購入する際に、シビアに見るのが「重量」。
10個のギアでそれぞれ100g減らせば1kgの軽量化になる…!!
100gの違いはかなり大きいと言えます。
さて、私が双眼鏡を選んだ際、コンパクトを謳う製品の大半が、おおよそ200g〜300gの重量のものでした。
※重量があるものは、対物レンズ有効径が大きいものであることが多いです。
私は使わない時も首から下げておきたいので、「できれば100g台のものが良い」と条件を絞って、購入する双眼鏡を探しました。
ポロプリズムとダハプリズム
また、コンパクト性に影響する要素として、双眼鏡の2種類のタイプ、【ポロプリズム式】【ダハプリズム式】があります。
パッと見た目に大きな違いがあり、
ダハ式はこんなので…↓
ポロ式はこんなの↓
その形状の違いは、レンズと光路の関係にあります。
双眼鏡は、接眼レンズへ光を導くプリズムの設計によって「ポロプリズム式」と「ダハプリズム式」の2種類に大別されますが、伝統的なフォルムの「ポロ式」は、優れた光学性能を実現しやすく、また対物レンズの間隔も広く取れるので双眼鏡ならではの立体感を気軽に楽しめます。
http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/products/howtobino/
一方、対物レンズと接眼レンズが直線上に配置されているのが「ダハ式」です。高い精度が必要なため比較的高価になりますが、ボディをコンパクトにできます。
図で表すと下記のような形。(雑ですが…。)
黄色い線が光路、水色の図形がレンズです。
ポロプリズム式
ダハプリズム式
持ち運ぶ際のサイズ感もコンパクトにしたいなら「ダハプリズム式」が良さそうですね。
ストラップ
登山は鎖を掴んだり、とっさの時に備えて両手をフリーにしておくことが重要です。
最低限、ストックを持つまでにとどめたいですね。
ですが、珍しい風景や動物に出会ったり、双眼鏡を覗きたいときは突然やってくるもの。その時になって慌ててカバンから出そうとしても、面倒臭くなって結局出さなかったり、見たいシーンを逃してしまったりします。
そんな時、ストラップの位置やサイズは機動性に関わってきます。
主にストラップは2種類。
ハンドストラップ
手首に装着することが目的のストラップ。長さを調節できないと手首からもすり抜けてしまうので、長さ調節ができるものを選びましょう。
ですが結局、行動中に手に装着すると邪魔になってしまうので、使わない時はどこかに仕舞うことになると思います。
実際の使用方法は、使用中の落下防止のために手首に通すというのがメインでしょう。
ネックストラップ
例えば軽い双眼鏡であれば、行動中は首から下げたままにしておき、覗きたい時にさっと覗くという使い方ができます。この時、ストラップが長いと行動中に首に下げた双眼鏡がゆらゆらと揺れて邪魔に…。短く、胸上あたりで下げるよう長さ調節ができると良いでしょう。
また、ストラップの付け根が1点のものと、2点のものがあります。
1点のものだと下げている間にくるくると回ってねじれたり、安定しません。
2点のものを選ぶと揺れず、ねじれず、安定して首から下げておくことができます。
最短合焦距離
双眼鏡でピントが合わせられるもっとも短い距離のことを最短合焦距離といいます。
登山で双眼鏡を使うシーンといえば、「野鳥観察」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、なんと足元の虫や植物を観察するのにも双眼鏡が使えるのです。
その場合、最短合焦距離が1.5mなど、短いものを選ぶのが良いでしょう。
諸々の条件を加味して選んだ双眼鏡は…!!
それらを加味して私が選んだのがこちら!
レンズフィルターの製造・販売では日本最大手として知られるKenkoの双眼鏡です。
倍率 | 8倍 |
---|---|
対物レンズ有効径 | 21mm |
コーティング | マルチコート |
実視界 | 7° |
ひとみ径 | 2.6mm |
明るさ | 6.8 |
1000m先の視野 | 122.3m |
アイレリーフ | 11.1mm |
最短合焦距離 | 3m |
サイズ(眼幅最大時) | 84.4×105.3×35.1mm |
重量 | 170g |
価格 | ¥5,380(税込) |
なんと登山に嬉しい170g!!他メーカーのものより約100gも軽いぞ?!
ぶっちゃけ、類を見ないこの軽さが決め手でした。
防水のものはたくさんあるのですが、信頼あるメーカーでここまで軽量化された双眼鏡は少ないです。
こちらは実視界の広さ、明るさ、倍率、価格、防水性、トータルバランスの良さでおすすめです。
ネックストラップも軽く、長さは調整可能で長時間つけていても首にも食い込まず、通気性もよく、約1年使いましたが今のところ不満が有りません。
思うところがあるとすれば、1年間、結構な頻度で使ったので「もっと倍率が高いものを使ってみたい」と思うようになったことでしょうか。
また、軽すぎるということは、耐久性に劣るという声も当ブログ読者さんからいただいたのですが、今までなんともないので、普通に使っていればそうそう壊れることもありません。
その他おすすめモデルはこちら!
その他にも「登山用」としての視点で、軽量でコストの低いものをメインに幅広く選んでみました。
選定基準 ・8~10倍 ・300g未満 ・価格1万円以内 ・ダハプリズム式 ・信頼できるメーカーか
その他のポイントは、「遠くを見る、足元を見る、水場で使う、などどんな使い方を想定するか。」「何を重視するか」で取捨選択を行っていただければと思います。
まず低価格ラインとして注目したのはこちら!
ブッシュネル
1948年に創業され、北米で光学機器史を牽引するメーカーブッシュネルより2000〜3000円台(販売サイトにより違い有り)のこちら。かなり安い印象。
195gと100g台を実現。価格、パフォーマンス、どちらをとっても素晴らしいモデルです。
特に高級感あるデザインが堪らない!ですが、防水性に劣るのが唯一の欠点。
また、もっと倍率が高い方がいいという方にはこちらがおすすめ。
10倍で5000円以下の同シリーズモデルがあり、232gと比較的軽量。コストパフォーマンスに優れた商品です。
防水ではないこと、ネックストラップが細くて少し痛そうなのが玉に瑕。
kenko
同じくトータルバランスの良いkenkoより、10倍×21mmモデルもあります。やはり圧倒的軽量、170g。
また5000円台と安い!とにかく価格、防水、軽量、明るさ、倍率…バランスが良いです。
8倍にはなかったマットブラックカラーもあり、デザインもワンランク上の上質さ。
OLYMPUS
価格が少し張ってもいいからもっと本格寄りを…という方には、有効径が大きい分、260gと少し重いですがOLYMPUSから明るく、堅牢性の高い商品が出ています。防水性も高くJIS保護等級7級相当を実現。水深1メートルの水中に5分間つけても問題ありません。
mont-bell×OLYMPUS
同じモデルで有効径を小さくして軽量化(210g)したモデルが登山でお馴染みのモンベルから出ています。こちらは8倍のみですが、価格、機能のバランスが良いです。
コーワ
また、最短合焦距離が短く、窒素ガス充填による完全防水構造で、至近距離にも使える耐久性に優れたモデルとしてコーワのSVシリーズがあります。
Nikon
有名メーカーNikonからはこちらのシーリズ。ブッシュネルに並ぶ195gと軽量なACULON T02 モデルと、防水に優れたACULON Wというモデルが出ています。6色カラー展開でお気に入りのカラーが見つかりそうです。
また、後者は8倍のみですが、1mの水深に10分間浸かっても影響のない防水設計(水中での使用はできません)とかなり耐久性に優れそうです。
軽量なT02モデル
防水モデル
Vixen
Vixenはアウトドアブランド、Colemanとコラボしているモデルをいくつか出しているのですが、いずれも300gと少し重い印象でしたので今回の視点から外しています。
が、軽量性、耐久性に優れデザインもカラフルでおしゃれなモデルがありました!
ストラップや専用ケースもついていますよ。
それがこちら。
各種スペック比較とまとめ
色々なモデルを引き合いに出しましたが、今までに登場したモデルのスペックをまとめるとこんな感じです。
※項目名の横にある矢印をクリックすると、その項目名の数値の多い少ないで並べ替えが出来ます。
※表示を絞りたいキーワードでの検索をかけられます。
モデル名 | 倍率 | 対物レンズ有効径 | 最短合焦距離 | 実視界 | ひとみ径 | 明るさ | アイレリーフ | サイズ | 質量 | 1000m先の視界幅 | 防水 | コーティング | ストラップ | 税込価格(※) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
kenko/classi-air 8×21 | 8倍 | 21mm | 3m | 7° | 2.6mm | 6.8 | 11.1mm | 84.4×105.3×35.1mm | 170g | 122.3m | 防滴 | マルチコート | ○ | ¥4,951 |
kenko/classi-air 10×21 | 10倍 | 21mm | 3m | 5.4° | 2.1mm | 4.4 | 8.5mm | 84.4×105.3×35.1mm | 170g | 94.3m | 防滴 | マルチコート | ○ | ¥5,226 |
Bushnell/PowerView CE 8×21 | 8倍 | 21mm | 6.4m | 7.2° | 2.6mm | 6.76 | 10mm | 107×92×35mm | 195g | 126m | × | - | ○ | ¥3,553 |
Bushnell/PowerView2 CE 10×25 | 10倍 | 25mm | 4.6m | 5.2° | 2.5mm | 6.25 | 10mm | 115×110mm | 260g | 91m | × | - | ○ | ¥4,860 |
OLYMPUS/WP Ⅱ 8×25 | 8倍 | 25mm | 1.5m | 6.2° | 3.1mm | 9.8 | 15mm | 107×104×44mm | 285g | 108m | ○ | マルチコート | ○ | ¥8,630 |
OLYMPUS/WP Ⅱ 10×25 | 10倍 | 25mm | 1.5m | 6.5° | 2.5mm | 6.3 | 12mm | 107×104×44mm | 285g | 114m | ○ | マルチコート | ○ | ¥8,890 |
mont-bell×OLYMPUS/RC II WP 8×21 | 8倍 | 21mm | 3m | 6.3° | 2.6mm | 6.8 | 11.5mm | 107×104×44mm | 215g | 110m | ○ | マルチコート | ○ | ¥7,312 |
KOWA/SV 8×25 | 8倍 | 25mm | 1.5m | 6.2° | 3.1mm | 9.6 | 15mm | 104×108×42mm | 260g | 15mm | ○ | マルチコート | ○ | ¥7,678 |
KOWA/SV 10×25 | 10倍 | 25mm | 1.5m | 6.5° | 2.5mm | 6.3 | 12mm | 104×108×42mm | 260g | 114m | ○ | マルチコート | ○ | ¥8,060 |
Nikon ACULON T02 8x21 | 8倍 | 21mm | 3m | 6.3° | 2.6mm | 6.8 | 10.3mm | 87×104×34mm | 195g | 110m | × | マルチコート | ○ | ¥6,514 |
Nikon ACULON T02 10x21 | 10倍 | 21mm | 3m | 5.0° | 2.1mm | 4.4 | 8.3mm | 87×104×34mm | 195g | 87m | × | マルチコート | ○ | ¥7,266 |
Nikon ACULON W10 8x21 | 8倍 | 21mm | 3m | 6.3° | 2.6mm | 6.8 | 10.3mm | 87×110×34mm | 215g | 110m | ○ | マルチコート | ○ | ¥6,460 |
Vixen アリーナHD 8x21WP | 8倍 | 21mm | 2.5m | 6.0° | 2.6mm | 6.8 | 11mm | 91×67×48mm | 190g | 105m | ○ | フルマルチコート | ○ | ¥6,373 |
※ストラップの形状については詳細不明です。
吟味しましたが、登山用はやっぱり軽量性・防水・堅牢性は無視できないポイントですね!
皆さんもぜひ「自分のスタイルに合った」双眼鏡を携えて、より楽しい登山を過ごして見てはいかがでしょうか。
コメント